三線の価値は棹の材質や質のよしあしによって決まります。三線を購入するということは、この棹を購入するということです。その他の部分は交換可能な消耗品と言ってもよいでしょう。
三線が沖縄の家庭で代々家宝とされるのは、この棹の部分が高級だからです。自宅の敷地内にあったクロキ(クルチ・黒檀)の大木を倒すことになったので、三線を作ったという話もよく耳にします。また、来歴など思い入れがある場合や著名な演奏家が使っていたものは、素材の価値以上に評価されることがあります。
材質としては、黒檀・紫檀・縞黒・樫・ゆし木などがあげられます。なるべく硬質で木質が過密なものがよいとされています。硬質でよく乾燥されたものであれば、三線の形になってから何年たっても、ねじれや反りが生じないからです。様々な材質がある中でも、黒檀・紫檀がよいとされ大変高価です。棹下部の猿尾と呼ばれる部分は、たいてい塗りがほどこされていませんので、ここで棹の素材を判断することができます。
黒檀の中でも八重山のものは最高ランクとして扱われます。しかし、現在の八重山では三線が取れるほどの大木はなくなっており、あったとしても市場に出回ることもほとんどありません。沖縄産・八重山産に対して「クロキ(琉球黒檀)信仰」ともいえるほど執着する方もいますが、現在では外国産のものでも、十分によい音がするものがあります。
部位名称は、棹の表面(弦が触れる部分)を野といい、裏面(構えたときに体に近い部分)を野丸といいます。この野がいかにまっすぐであるか、また野丸の形状で三線の型が決まります。三線の型によって、響きや持ったときの感触も異なってきます。
また、日本の三味線との大きな違いは、日本の三味線が分割できるのに対し、沖縄の三線は上から下までが一本の棹であることがあげられます。