三線の楽譜のことを「工工四(くんくんしー)」といいます。「合、乙、老、四、・・・・・・」などの漢字で縦書きに表記された楽譜です。最近出版された教本の中には、五線譜も併記されたものもありますが、むかしからある沖縄の民謡は工工四で書かれているものがほとんどです。工工四の読み方を覚えると、演奏できる曲目も多くなります。ここでは、簡単に工工四の読み方と勘所についてご説明します。
三線の弦を指で押さえるところを勘所(かんどころ)といいます。勘所を漢字表記し、楽譜化したものが工工四です。工工四で表記される階名は下のようになります。ドレミ表記は4の高さ(C,F,C)で調弦した時の音名です。下の図は歌口から勘所の距離を示したものです。実際は棹の長さや型、指の太さで違ってきますので、目安としてください。
ここで使われる漢字は、音の高さに対する相対的な階名です。西洋音階のドレミをあてはめて考えることもできるのですが、調子(本調子・二揚げ・・・)が変わると音の高さも変わります。4(C)の高さで調弦した場合、本調子では中弦が四=ファ、中=ソ、尺=ラ となるところ、二揚げにすると四=ソ、中=ラ、尺=シとなるのです。そのため、ドレミであてはめて考えることは導入としては便利なのですが、のちのち不要となると思われますので参考程度に考えてください。
勘所を押さえるのは、左手の人差し指・中指・小指だけです。薬指を使わないということを覚えておきましょう。勘所を覚えると、工工四を見ながら曲が弾けるようになります。最初は、棹の側面にシールを貼っておいてもいいですね。シールを貼る場合、弦の下ではなく、かまえた時に自分で上から見える場所がよいでしょう。便利な勘所シールもあります。
注意すべき点は、中弦の小指で押さえる「尺」の高さです。一般に、沖縄本島の民謡では尺はやや高めの位置になることがあり、八重山の民謡の場合は上の図のようになります。また、曲によって尺や七の位置が少し高めになるものもあります。三線を習得する場合、工工四はあくまで目安としての教材です。伝統音楽の中には、師匠が演奏するのを聴いて見て、真似ることによって弟子が覚える学び方がありますが、沖縄音楽の場合もその傾向があります。自分ひとりで学ぶ場合は、CDやテープなどの音源をよく聴いて音の高さを身につけるとよいでしょう。
手元に三線がないという方におすすめなのが、三線プレイヤー『サン吉くん』(フリーソフト)です。弦の押さえる部分をクリックすると音が出ます。工工四を見ながら、サン吉くんで三線体験してみてもいいですね。
さて、勘所がつかめてきたら、実際に工工四を見ながら曲を弾いてみましょう。次の工工四はおなじみの童謡『ちょうちょう』の一部です。横に歌詞があるのでわかるかと思いますが、縦書きの文書と同じように右上から下へ読みます。
ポイント
1.縦方向に見る
2.1マスが一拍
3.「○」は休符
中弦からはじめるものと女弦からはじめるものと、2つのパターンを用意しましたが、どちらも工工四は途中までしかありません。手探りでかまいませんので、自分で最後まで弾いてみましょう。その時、音をしっかり聴いて勘所をきちんと押さえられているか確認しましょう。
スムースに弾けるようになったら、右側に書かれた歌詞も口ずさんでみましょう。本来、三線は歌の伴奏楽器です。歌と一緒に三線が弾けるようになるといいですね。もう少しレベルアップするなら、何でもいいので知っている歌を少しずつ工工四にしてみましょう。自分で書くことが工工四を理解する一番の近道になります。
工工四に慣れるまでは、ついつい勘所を確認したくて三線が上を向いてしまうことがありますから注意しましょう。弦や勘所の位置が体得できてきたら、正面を向いて弾くことができるようになりますよ。
このページでは、初心者向けに、勘所も省略して表記してあります。古典民謡やポップス曲などになると、もう少し勘所の数が増えてきます。また声楽譜が表記されているものや、歌い方や弾き方の指示が記号で表されているものもあります。表記の仕方は各工工四や流派(古典の場合)によって異なりますので、教本を参考にしてくださいね。
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